【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はメディアワークス文庫から8月25日に刊行される『後宮の呪術女官』です。みなさんの感想も聞かせてください!
大人気のジャンルである「後宮ファンタジー」が私も大好きです。後宮は皇后をはじめ多くの女性が暮らす豪華絢爛な場所である一方、嫉妬や陰謀がうずまく閉鎖的な空間でもある。そんな特殊な場所で起こる事件や人間ドラマに心惹きつけられるのです。
後宮にはびこる不穏な呪いの謎を解き明かすために、山奥から連れてこられた珂玲が本作の主人公です。これまで一度も呪術を成功させたことがない見習い呪術師だったのに、後宮に来たとたん突然「能力解放」。次期皇后候補である桜樹の体調不良の原因を突き止めたり、殭屍(キョンシー)から後宮の人々を守ったりと大活躍します。すごく痛快。惚れ惚れしながら読みました。
珂玲を後宮に連れてきた張本人である将軍・泰峻との関係性も絶妙です。最初は政治的に利用しようとしていただけの彼も、珂玲の思いやりあふれる人柄に触れ、しだいに守りたいと思うように。彼女をサポートすべく、陰で健気に働く姿にはキュンとします。献身的な男性って魅力的ですよね。ちなみに、珂玲と泰峻のボケとツッコミのような会話も楽しいです。
終盤では呪いの真実が明らかに。衝撃的な展開に度肝を抜かれ、珂玲の過酷な運命を思うと胸が苦しくなりました。けれど自暴自棄にならず、一段ギアを上げて「もっと強くなろう」と決意した珂玲は、本当に強いし、心の底から応援したくなりました。
後宮ものが好きな方はもちろん、ひとりの少女の成長小説としても楽しめる作品です。
文:高倉優子
ざっくり言うとこんな作品
1)大人気ジャンルの「後宮ファンタジー」に、呪術×ミステリの要素が加わった読み応えのある作品。
2)師匠亡きあと、ひとり山奥でひとり暮らしていた呪術師見習いのヒロインが、皇室で相次ぐ病や後宮で起こる不審な出来事を呪術で解決することになる。
3)過酷な運命を背負ったヒロインを陰で健気に支えるヒーローの献身性も魅力。
主要キャラ紹介
珂玲(かれい)
呪術師見習いの少女。お人好しな性格で呪術は苦手だが、後宮にはびこる呪いを封じるため、泰峻によって後宮に連れてこられる。
泰峻(たいしゅん)
凡帝国の若き将軍。皇太后による呪術師討伐の命を受け、珂玲を捕らえ、後宮に連行する。本来は武術よりも読書が好き。
王明如(おうめいじょ)
皇太后。病で伏せる息子(皇帝)に代わって凡帝国の実権を握る。皇室で相次ぐ病の原因を呪いであると信じ、呪術師討伐を思いつく。
- ミステリー
- 後宮
- 読書感想文レビュー
- 高倉優子