【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は8月8日に刊行された『あのとき育てていただいた黒猫です。』です。みなさんの感想も聞かせてください!
情緒が掻き乱される小説である。何故かといえば、「猫を飼っていた経験」と「おねショタ好き」という交わらないような二者の気持ちが同時に湧いているから。心の中で涙と、オタクとしての歓喜が同時多発していて、うまく言語化できないのだ。
とはいえ、一つずつ言語化していくと……。「猫を飼っていた経験」から。過去形ではあるが、これは僕自身が実家を出たからであって、まだ猫はのんびりと暮らしている。歳三(メス)はそろそろ15歳なので、老化も始まっているため、いつか実家から残念な連絡が来る可能性があるわけだ。そうなったとき、いくら自分が実家を離れてからの方が長いとはいえど、泣いてしまうに違いない。その後、もし歳三が人間の姿となって現れたら? そう考えると……瑠璃香のように感動してしまうだろう、という瑠璃香への感情移入がまず存在していて。
だが、同時に瑠璃香とテトのおねショタと読むと……。感動譚ではあるものの、オタクの理想的展開が続いて思わずガッツポーズをしてしまうのだ! 一緒にショッピングをしたり、服を着せたり……。飼い猫と飼い主の距離感そのままに、ほっこりする雰囲気のシチュエーションがこれでもかと詰め込まれていて、ニヤけてしまうことが不可避である。

そんな二者が同時に楽しめるため、心の中では涙とニヤけが拮抗しており、キモい笑顔を浮かべながらこの原稿を書いている。ただ、実家の猫に久しぶりに会いたい気持ちが湧いたのも事実で、お盆の帰省時にはちゃんと写真を収めてこようと改めて感じた。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
・猫としての生涯を終えたテトだったが、なんと猫又となって復活!? 人間の男の子になって飼い主のお姉さんの元へ向かう感動譚
・猫の姿で友達や地域の猫と再会し、一緒になって飼い主のお姉さんへの恩返し手段を模索していく流れがエモい!
・飼い主(女子高生)以外にも、ミステリアスなお姉さんや派手な服装のギャルなど様々なお姉さんと、主人公の交流がとにかく可愛い!
主要キャラ紹介

泉 瑠璃香(いずみ・るりか)
テトを飼っていた女の子。テトの死を看取った後成長し、現在は女子高生となった。テトが人間の姿で現れてもすぐにその特徴、クセに気付くほど、テトのことが大好き。

テト
瑠璃香の元で飼われていた猫。亡くなってしまうが、猫又として復活。人間の男の子に化け、瑠璃香の元へ向かった。今の夢は、瑠璃香へ恩返しをすること。

ススキ
テトを猫又にして瑠璃香の元へ送った存在。着物を着崩した独特のファッションをしており、とても色めかしい。頭の上には大きくてふさふさした狐の耳がある。

逆瀬川 結羅(さかせがわ・ゆら)
瑠璃香の幼なじみ。銀髪ボブカットに赤いメッシュを入れている派手な服装の女の子。テトのような可愛い少年に目がなく、出会ってからはお姉さんとして甘えさせたがっている。
- 太田祥暉
- 現代
- 読書感想文レビュー
関連書籍
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あのとき育てていただいた黒猫です。ある日、一匹の黒い雄猫が天寿を全うし、飼い主の腕の中で息を引き取りました。しかしその直前、黒猫はあることに気が付きます。
『――僕は、何も返せてないじゃないか!!』
優しくしてくれて、甘やかしてくれて、たくさんの時間を一緒に過ごしてくれた飼い主・瑠璃香に何もお返しできていないことに思い至り、悔やんで悔やんで、でもだんだんと力が抜けていって――気が付くと妖怪・猫又となっていました。妖怪が人間と交流するなら人間の姿にならないと……そこで変化を試みるも妖力が足りず、幼い男の子の姿が精一杯。しかし元黒猫・テトは全速力で走ります。二年が経ち少しだけお姉さんになった瑠璃香のもとへ――今度こそ、恩返しをするために。発売日: 2025/08/08電撃文庫