SHARE

「冷血皇帝」のはずなのにヒロインには甘い!? 密度の濃い日々を送る二人に、グイグイ引きこまれます

角川ビーンズ文庫
角川ビーンズ文庫
2025/04/01

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は4月1日に刊行される『地味令嬢、しごでき皇妃になる! 契約婚のはずなのに冷血皇帝に溺愛されています』です。みなさんの感想も聞かせてください!


日常生活でも仕事の場でも、様々な制約に縛られて実力を発揮できないのは苦しいものです。理不尽な理由で婚約破棄されたルシェルには、確かに同情できるのですが、彼女にとってはむしろ、そちらの方がよかったのかもしれません。

アルベルトの婚約者だった時には目立たない振る舞いを徹底していたルシェル。でもそれはあくまでそれが最善だと判断したからであって、本来の彼女はまったく違います。どんな時にも冷静なルシェルは、必要であればいくらでも相手の手の内を読み、無礼な相手に釘を刺し、自分に有利な状況を作り出すことができるのです。その様子はもはや辣腕といってもよく「かっこいいけど、絶対敵に回したくないな……」と思ってしまいました。自分の力で状況を好転させる令嬢はたくさんいますが、ここまでしたたかに立ち回るのは彼女ならではでしょう。

しかし、驚くほど頭の切れるルシェルも、恋愛の方はほとんど経験がありません。仕事に私情を持ち込まない彼女は、誰かに感情をかき乱されるということがなかったのです。カイナスのストレートな愛情表現に戸惑いながら、少しずつ恋を知っていく様子は本当に初々しくて、ニヤニヤが止まりませんでした。仕事の時の切れ者ぶりとの落差もあり、かわいらしさが際立っていると思います。時に過剰なほど好意を伝えるカイナスにも「当然だよなあ」という思いが湧いてきました。

半ばなし崩し的に夫婦となったカイナスとルシェル。しかしそれがいかに二人にとって大切な出会いであったかが、読み進めるほどに実感できます。仕事の面でも恋愛面でも密度の濃い日々を送る二人に、グイグイ引きこまれてしまいました。

文:安芸沙織理

ざっくり言うとこんな作品

・地味な格好で抑圧されてきた本当の自分を解放し、自由に生きるルシェルの爽快感! 国家の運営から貴族間の政治的駆け引きまで、なんでもさらりとこなす彼女のかっこよさ!

・「冷血皇帝」のはずなのにルシェルには甘い!? ギャップだらけのカイナスの魅力! ルシェルに甘えるかわいらしさと、独占欲の強さが垣間見えるスキンシップにときめかされる!

・婚約破棄ものではお約束の「ざまぁ」展開だけでなく、ルシェルとカイナスの間にはある大きな秘密が……! 何度でも読み返したくなること、間違いなし!

主要キャラ紹介

ルシェル・エーデルワイス

ルシェル・エーデルワイス
エーデルワイス公爵令嬢。アルベルトに婚約破棄され、オルテニア帝国の皇妃になる。地味に振る舞っているが、実は驚くほど有能な人物。作家「エルマ・テラー」の大ファン。

カイナス・オルテニア

カイナス・オルテニア
「冷血皇帝」と呼ばれるオルテニア帝国の皇帝。「エルマ・テラー」の名で執筆している。皇妃に迎えたルシェルに強く執着するのには、何か理由があるようで……?

アルベルト・グリンゼラス

アルベルト・グリンゼラス
グリンゼラス王国第一王子。地味なルシェルが気に入らず、婚約破棄をする。自分が王太子として執務をこなせてきたのはルシェルのフォローあってのことだと気づいていない。

エドガー・ウィステリア

エドガー・ウィステリア
オルテニア帝国でルシェルの護衛を務める騎士。カイナスの従兄弟であり幼馴染。当初はルシェルを信じ切れずにいたが、彼女の実力を目の当たりにしてからは敬意を払う。

  • ロマンス
  • 安芸沙織理
  • 読書感想文レビュー

関連書籍

  • 地味令嬢、しごでき皇妃になる! 契約婚のはずなのに冷血皇帝に溺愛されています
    地味令嬢、しごでき皇妃になる! 契約婚のはずなのに冷血皇帝に溺愛されています
    婚約者に「俺より目立つな」と言われ、地味令嬢として生きてきたルシェル。
    宴の場で理不尽に婚約破棄をされるが、隣国の「冷血皇帝」カイナスが声をかけてきて――
    「私のところに嫁いでくる気はないか?」
    多忙すぎる彼を支えるため、ルシェルはパートナーとしての婚姻を受け入れる。
    ところが、契約のはずなのにカイナスの態度と眼差しは終始甘すぎて……!? 
    地味を脱ぎ捨てた令嬢のお仕事溺愛(時々趣味)ラブストーリー!
    遠都衣 (著者) / 壱子みるく亭 (イラスト)
    発売日: 2025/04/01
    角川ビーンズ文庫
    試し読みする

みんなにシェアしよう