【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はドラゴンノベルスから11月5日に刊行された『貧弱な泡スキルは特性を極めたら最強ですか?』です。みなさんの感想も聞かせてください!
いわゆる「外れスキル」を手にした主人公が、どのようにして逆境を乗り越えるのか。このストーリー展開は、個人的にも非常にそそられる要素だ。今作の主人公アウセルが掴まされたのは「泡」。到底戦闘向きとは思えないが、逆にそこがいい。マイナー能力が「火」とか何だとかメジャーな能力を凌駕するのを、こちらとしては期待しちゃうんだよね。
泡で何ができるのかって、最初に思いつくのはやっぱり掃除だろうか? 彼の泡スキルがあれば、劣化した装備品の頑固な汚れも楽に落とせて、家一軒だって泡まみれにして大洗浄。これなら「最強」の清掃人になれるに違いない! と、楽して金儲けルートに入って綺麗さっぱり終わらないのが今作のニクいところだった。
今作のヒロイン・ラフィーリアに師事したアウセルは、泡スキルを活かした戦闘術を次々と会得していく。頼れる師との出会い。一気に開花する少年の才能。王道激アツ演出に、これを待ってましたと、テンション爆上がり! 真価を発揮した「泡」スキルなら、硬化した泡を盾にするのは朝飯前。とどめにモンスターを泡に閉じ込め圧殺。え、えげつない……! 泡の特性をフルに生かしたバトル描写は、他に類を見ない面白さだ。

ちなみに師匠のラフィ―リアだけど、とっても強いのに、師としての振る舞いにはまだ自信が無さげ。時折見せる儚さが放っておけない女の子ポイント高いんだ、これが。そんなクールなお姉さんが、素直で純粋な弟子の少年に絆されていくという構図も大変美味しく頂けました。年の離れた姉弟ともまた違う、師弟モノならでは絆の深まりって感じで、五臓六腑に染み渡るんだよなあ…。
文:赤川 恵
ざっくり言うとこんな作品
1)一見、貧弱な「泡スキル」でも諦めずに努力し続けるアウセルのひたむきさ。冒険者の夢を叶えるため頑張る主人公の挑戦が熱い!
2)「泡スキル」の使い道は掃除だけではない。「膨張」「増殖」……泡の特性を最大限に生かした、創意工夫が光るバトルシーン!
3)クールだけどちょっぴり変人な師匠と、健気で素直な可愛い弟子。ラフィ―リアとアウセルの間に芽生える師弟愛が胸を打つ。
主要キャラ紹介
アウセル
冒険者を志す孤児の少年。使い手を選ぶ【泡】スキルながらも、努力と研鑽を怠らない。幼いながらも大物の片りんを見せる。

ラフィーリア
【絶対零度】のスキルを所有するSランク冒険者。愛神に仕える守護天使の立場から、英雄となるに相応しい弟子を探している。

ルーク
魔導学園に所属する生徒。アウセルとは同じ孤児出身で、彼の夢を応援してくれる良き理解者でもある。スキルは【剣】。

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