【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は8月12日に刊行された『承香殿の身代わり姫君 女御失踪の謎を解く』(著:湊川みみ先生/イラスト:日下コウ先生)です。みなさんの感想も聞かせてください!
メクリメクルを見ている人の中には、読書好きがたくさんいるはずです。現代の女性であれば何の問題もない読書という行為も、平安時代に生きる沙那にとっては困難がつきまといます。けれども、いくら漢籍をたしなむのは「女らしくない」と非難されても、好奇心旺盛な沙那は本を読むことをやめようとはしません。その時代の理想的な女性像の枠には収まることはなく、悩みながらも自分らしい生き方を貫こうとする沙那の姿に思わず共感し、強く励まされました。
個人的に大好きなのは、幼い沙那が機知に富んだ仕返しで祖父を遣り込めるシーンです。この例に留まらず、女性を政治の道具として扱ったり、尊厳を傷つけようとする男性に対して、自分のやり方で逆襲する沙那の姿はなんとも痛快でした。

そんな沙那ですが、恋に関してはかなり初心で奥手。知性派な姿とは異なる一面が見えて、そんなところも愛おしくなりました。当時の女性としては規格外な沙那と、やんちゃな沙那を鷹揚に受け止める美形の公達・寛高との軽妙なやり取りが印象的な前半パートは、ラブコメ的な楽しさが味わえます。一方で、寛高の正体を知ったうえで自らの恋心を自覚した以降、沙那に訪れるのは初めて覚える切なさや苦しさ。恋を知らなかった沙那の変化や心の揺れは、まさにラブロマンスの醍醐味です!
右大臣派と左大臣派が争う状況の中で、次々と起こる不穏な事件にひるむことなく沙那は立ち向かい、寛高と力を合わせて紗子の失踪をめぐる真実を暴きます。雅な平安文化と宮廷陰謀劇に心が躍る平安ミステリーロマンです。
文:嵯峨景子
ざっくり言うとこんな作品
・カクヨムで開催した「ときめきの和風中華コンテスト」受賞作!
・書物好きで”賢しい”と言われるじゃじゃ馬姫君・沙那と、そんな沙那を面白いとからかう寛高のコンビで、女御失踪の謎に挑みます! 平安らしい雅やかさとテンポよい二人の会話に引き込まれます!
・謎解き要素もしっかり楽しみつつ、ビーズログ文庫らしい恋愛シーンも楽しめる作品です♪ 禁断の恋に苦しむ沙那の姿に涙…。
主要キャラ紹介
沙那
読書好きな姫君。父は下級貴族で子供の頃は母の実家で従妹の紗子と共に育った。謎の失踪を遂げた紗子の身代わりを務めるため、女房として内裏に潜入する。
寛高
帝に仕える若き公達。姿を消した「承香殿の女御」を捜索する中で沙那と出会い、協力しながら調査を進めていく。紗子の事情になぜか詳しいがその正体は……?
紗子
左大臣の娘で沙那の従妹。入内して帝の寵愛を一身に集め「承香殿の女御」と呼ばれている。ところがある日、宮中の奥深くから忽然と消え失せてしまった。
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