「一目ぼれの呪い」をかけられた王子からの求愛! 振り回される恋愛から脱却していく、サクセス王宮ファンタジー! 「強い女性」の物語を読みたい人へおすすめ!

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は角川ビーンズ文庫から8月1日に刊行される『完璧王子が全力で口説いてきます ※呪いによる求愛はご遠慮ください』です。みなさんの感想も聞かせてください!
本作は「目の前の女性に一目ぼれをする」という呪いを受けたアレクシスが、たまたま目についたシャノンに求愛をしてしまうというストーリーだが、この前提はただのきっかけに過ぎない。というのも...シャノンは魔法使いとしての高い実力と、人当たりの良さ、そして優しさをあわせ持つ人物であり、その魅力によってアレクシスの心を徐々に絆していくのだ。二人の恋物語は決して呪いに依存しない。その姿勢と力強さには、思わず応援したくなる清々しさがあった。
だからこそ私はこの作品に、現代的なサクセスストーリーの側面もあると感じた。たとえば、シャノンが新入社員でアレクシスが社長令息という設定でも、本作のテーマは成立するだろう。ファンタジー作品でありながら、強い女性が社会でのし上がっていく構図が、非常に小気味よい。そしてその小気味良さは、強い女性の増えてきた現代人の感覚と非常にマッチしているのではないかと思う。すべてを自分の力で切り拓こうとするシャノンの姿に、私は現代的な「強い女性像」を見た。特に、ブロンテの理不尽に静かな怒りを燃やすシャノンは、正直ゾッとするほどかっこいい……!
理不尽と戦う強い女性の物語を読みたいのであれば、ぜひ本書をオススメする。ささいなきっかけ、いわゆるチャンスを生かせるかどうかは、その人自身の力にかかっている。この物語には、男女の垣根を超えた、力強い「生きること」へのエールが込められていると感じた。チャンスを掴みあぐねている人や、生き方に迷いを感じている人こそ、読めば必ず痛快な気分が味わえると、太鼓判を押したい。
文:明日香 譲
ざっくり言うとこんな作品
1)恋を知らない完璧王子アレクシスのギャップが最高! 呪いで大胆な行動をした後で照れるアレクシスのかわいらしさは、呪いに感謝してしまうかも!?
2)シャノンの隠しきれない規格外な魔法使いとしての実力に、登場人物大混乱! さりげなく偉業を達成してしまう、恋愛サクセスストーリー!
3)呪いが消えても、恋と物語は終わらない――! 秘められた呪いの謎と揺れ動く王子の心が、新たな物語を生み出す面白さの二段構え!
主要キャラ紹介

左)シャノン・エルダー
魔法省の下っ端土魔法使い。じつは『豊穣の大魔法使い』の末裔で、魔法の実力は世界屈指。世界の亀裂の修復という使命を持つ。おっとりとした性格だが、怒らせると怖い。
右)アレクシス・セレブレイト・デルヴィーニュ
デルヴィーニュ王国王太子。国民から『完璧王子』と呼ばれるほど人気。呪いを受け、シャノンと目が合うと豹変して求愛を行い続ける。次第にその求愛は、呪いのせいだけではなくなり…?

ブロンテ・フィネガン
王宮火魔法使いのトップ。魔法伯爵。傍若無人な性格で、王国からも問題視されている。アレクシスに強い執着を見せ、近づいてくる人間に異常なほどの敵対心を見せる。
- 明日香 譲
- 読書感想文レビュー